しょーちゃんのクソブログ

いつもコンビニやスーパーで割り箸いりますか?と聞かれると咄嗟に「2膳で」と言ってしまいます。彼女持ちを思わせる高等テクです。

人生詰んだ話

皆さん、こんにちは!

社会人4年目になりました、しょーぐんです!

ところで皆さんは人生詰んだことありますか〜?

 

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今回は私が実際に「まじオワタ」となった話を紹介し、今後皆さんが“詰む”ことのない人生を送ることが出来れば幸いです!

Let's Go!!!!

 

第一章「其れは些細な物心」

あれは忘れもしない高校三年生の冬です。毎日電車通学をしていた僕にとって、通学定期券の更新とは、返却期限当日のDVDを返しに行くことよりも大事なことでした。

そんなある日のこと、翌日の準備をしているとびっくり仰天スットコドッコイ。定期券が本日限りであることに気づいてしまいました。

バクンと一度心臓が強く鼓動し、僕は定期券をコートの胸ポケットに忍ばせて、普段使うリュックを背負っては家を勢いよく飛び出しました。一歩駆け抜ける度に眼前には白い息が広がり、冬の冷たい風は頬を撫でていく。肺が凍えそうになるのを全身で感じながらも、僕は月夜に照らされる最寄り駅へと走り続けました。

ですが、残念なことに僕の最寄り駅では定期券の更新は行えません。ド田舎駅過ぎて不可能なのです。しかしそれは本人も重々承知しています。最寄り駅に着くや否や、まるで学年対抗リレーで次の走者にバトンを託すような勢いのまま電子定期を改札に叩きつけて駅構内へと無事に辿り着きました。

激しく乱れる呼吸を整えながら、iPhoneを起動し次発の電車の時刻を調べようとしたその時、僕は第一の攻めを喰らいました。

──iPhoneが起動しない。

そう、iPhoneのバッテリーが切れていたのです。加えて当時はモバイルバッテリー等といった高度な文明道具を所持しておりません。ですが当時、生徒会長と部長を掛け持ちしていた人生絶頂期にして容姿端麗、頭脳明晰、猪突猛進な私はそのようなことには屈しません。己の失態を知るや否や、刹那の瞬きの内に時刻表掲示板へと駆け寄り、次発の電車の時刻を調べて事なきを得ました。それも一つの起因となったのか、僕の慢心度は四十%上昇しました。

そうして僕は定期券外である二つ先の駅へと向かう電車に飛び乗り、いけしゃあしゃあと時をすごし、なんの障害もなく目的地に辿り着いた僕は、今度はラーメンの器を持つが如く優しく電子定期を改札にかざして無事、定期券購入所へとやって来ました。

……感の良いそこの貴方、大正解です。

そう、私は此処で痛恨にして最大のミスを犯していました。

財布がない──ッ!

もう僕の頭は右脳と左脳と脳汁のミックスジュースです。激しくグルグルと掻き混ぜられて、何一つ思考が纏まらない。

……いや待て待て、此処で確定された事実は“僕は財布を忘れた”と言うこと。ならば簡単な話、ただ取りに行けば良いだけではないか。なにも恐れ慌てることなんてなかった。

──再び僕は容姿端麗、頭脳明晰、猪突猛進な己を取り戻し、其れはさながらハリウッド女優のように電車定期を改札にかざして、同じ手順で最寄り駅へと戻りました。

そして改札を出ようとしたその時です。

ピーーーッッ!!

「!?!!?!!!?」

突然の警笛に僕は動揺を隠しきれません。な、何が起きている!?一体なにが──?!

電子定期の残高が20円しか入っていなかったのです。

「そっかーー、20円かーー、HAHA! ウケるな!笑」

全く持ってウケません。

 

…………待って?

状況を整理しましょう。

 

①本人は財布を忘れている。

iPhoneのバッテリーは切れている。

③改札から出ることができない。

 

……………………おっ?

…………………………あー、はいはい。

………………………………なるほど。

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………………………詰みか??

 

 

 

 

 

財布を取りに来て貰うにも連絡手段は存在せず、こんなド田舎な駅には駅員さんも居ません。仮に居たとしても“無賃乗車”にも等しい好意を果たして許してくれるだろうか。自分に残された武器は教科書が積み込まれた鞄と、残高20円の電子定期券と、バッテリー切れのiPhone。そして容姿端麗、頭脳明晰、猪突猛進な己のみ。

 

状況を整理して、ようやく僕は一つの答えを得ることが出来ました。

 

 

「あっ、詰んだわ。」

 

ウケる〜〜〜〜〜〜笑笑

 

 

 

 

 

全く持ってウケません。

 

思い返せば元いた駅へと戻り、30分ほど歩けば良かったのですが、もはや冷静さを失った僕にそのような最適解は導き出せません。

ここに来て如何に己の容姿端麗(笑)、頭脳明晰(笑)、猪突猛進が貧弱であるかを知りました。

どうする、頭を働かせろ、なにか、この状況を打開できる何かを導き出せッ!

 

 

何もありません。

完全に詰みです。詰んだのです。

僕はこの駅構内、否。絶海の孤島に自ら飛び込み、出る術を無くした羽を失った哀れな小鳥。バイオハザードによくある展開のような人物像を丸々と再現してしまったのです。

 

僕はこの瞬間、この地球上に於いて、人類最後の男と化したのです。

ここで少年漫画や映画なんかでは、生存の為に足掻き苦しみ、そして楽園を築くのでしょう。

ですが私には、そのような精神性は持ち合わせてはおりません。

あるのは虚無な心のみ。哀れな己を責める未だ稼働し続ける自我だけだ。

このまま苦しい思いをし続けるのならば、もう───。

 

そうして全てを投げ出し、ショルダータックルで改札を抜け出そうとしたその時でした。

「……あの……なにか、お困りですか……?」

声が聞こえる方へと振り返ると、そこにはお姉さんが立っていました。善意と恐怖心を掻き混ぜたかのような表情を浮かべるお姉さんに対して僕は事の顛末を正直に打ち明けました。……すると。

「それは大変ですね…でしたら私の150円を使ってください!」

僕にはそのお姉さんが平成のジャンヌ・ダルク或いは聖母マリアのような神聖さと慈愛を兼ね備えた女神にしか見えませんでした。

王手と告げられた盤上の敗北は、盤上外から現れた第三の勢力によって“詰み”を回避することが出来たのです。

人類最後だと殻にこもっていた僕は、そうして初めて人の存在を知り、前を向き歩き出せたのです。

世界は不条理で、社会は理不尽だ。

しかしそんな世界でも“愛”は必ず存在している。傷つきながらも、挫けながらも、それでも僕達は癒し合いながら生きていけば良い。前に進めずとも構わない。後退しても構わない。何故なら私たちは隣人を愛することができるのだから───。

 

此度の件を体験し、私は思ったのです。

他人にこそ花を与え、持たせよう。

そうすれば自分にも花の香りが残る筈なのだから───。

 

 

 

 

 

 

~Fin~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アディダスジャージ 】

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効果:対象の防御力に-500の修正を与える。

「うるせぇアディダス童貞」